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在宅看取りでの「緩和ケア」痛みのコントロールは家でも可能なのか?

2016年07月29日
在宅看取りでの「緩和ケア」

在宅看取りの「痛みのコントロール」

緩和ケアとは、病気による様々な「痛み」を取り去る治療のことです。代表的なものに、身体的な痛みに対する「医療麻薬」の処方などがありますね。

ただ気になるのが、在宅での療養でもこれらの緩和ケアが受けられるのかということ。

特に医療麻薬などの特殊な医療措置。これらは、在宅医療の場で可能なのでしょうか。

 

「緩和ケア」とは ─その発祥と実態─

「緩和ケア」とは、イギリスの女医シシリー・ソンダースによって提唱された医療概念です。ソンダースは「その人らしい暮らしを最期まで支援する」という考えから、「痛みを取り去ることを目的とした治療」という新しい医療概念を提唱しました。

当時のイギリスは、アヘンなどが蔓延していた社会的風潮もあり、医療麻薬の使用に強い偏見の目が向けられていました。しかし、シシリー・ソンダースは「痛みはその人の人間性を奪い取る」「痛みを抱えながら本来のその人らしい暮らしを続けることはできない」と考え、積極的に医療麻薬を利用したホスピスを経営します。

その結果は驚くべきものでした。痛みを和らげることに成功した終末期の患者たちは、いきいきと、健康であったときのように、立ち、歩き、喋り、本を読み、子供たちと語らし、「その人らしい人生」を取り戻したのです。

ソンダースのこの成功から、医療麻薬は大きく見直されます。現在では緩和治療に利用するモルヒネなどは、「痛みを取り去る」目的で用いられるのなら、麻薬中毒を発症しないことも明らかになりっています。


ソンダースのこの試み、つまり「身体の痛みをとる」ことからスタートした緩和ケアですが、現在のでは「身体的苦痛」以外の様々な痛みもそのケアの対象と考えられています。代表的な「痛み」の内容としては

・身体的な痛み
もっとも代表的な痛みです。痛み、かゆみ、違和感、便秘や下痢など、身体的な苦痛や違和感全般をこう呼びます。

・精神的な痛み
「心の痛み」などとも表現されます。病に罹ること、そしてそれを告知することは、患者の心にとっても大きな苦痛です。その精神的な痛みから、精神的な病を合併してしまうこともあり得ます。こういった「心の痛み」に関しても、緩和ケアは対応します。

・社会的な痛み
社会的な痛みとは、例えばそれまでの仕事を続けることが難しくなってしまうことや、相続・家族関係の悩みなどです。これら社会的苦痛が心理的苦痛に繋がり、結果として身体的苦痛を誘発してしまう場合もありえます。

・霊的な痛み
「スリピチュアルペイン」とも。死生観、魂の実在、そういった宗教的・霊的な悩みについての痛みを医療用語でこのように表します。
現在では臨床宗教師(リンク)など、この「霊的な痛み」に対するアプローチも多々出現しています。

これらについては、以下の記事でより詳しい情報を公開しております。
「緩和ケア」とは何か
緩和ケアが対処する4つの痛み

さて、これらの緩和ケアは、在宅でも受けることが可能なのでしょうか?本論に戻っていきましょう。

 

「緩和ケア」は在宅医療の現場でも受けられるのか?

結論から言うと、在宅看取りの場でも、医療現場と遜色ない緩和ケアを受けることができます。なぜなら、それが緩和ケアの理念のひとつでもあるからです。

緩和ケアの理念は「その人らしい暮らしを支援すること」にあります。つまり「どこで治療をうけるか」ではなく「どのような治療を受けるか」が重要なのです。

日本において、緩和ケアは緩和ケア病棟(ホスピス)から始まりましたが、今やそれは一般の病院・クリニック、在宅医療にまで及んでいます。在宅でも、緩和ケアは受けられるのです。


特殊な医療麻薬についても、病院と全く同じように在宅で使用できます。痛みが強い場合は在宅医に電話などで相談し、指示を受けることもできます。

医療麻薬の投与方法は

1:飲み薬として飲む
2:座薬として肛門から入れる
3:貼り薬として皮膚から吸収させる
4:注射で投与する

の主に4つの投与方法がありますが、4番目の「注射」以外の方法なら、患者本人や家族による投与も認められています。薬の投与において、必ずしも医師や看護師の力を借りる必要はないのです。


「痛み」というと末期がんなどを想像する方も多いと思いますが、在宅医療で利用できる医療麻薬は、末期がんなどにも有効な医療麻薬です。実質的に、ほとんどの場合のペインケアは在宅でも可能だと考えることができると思います。


もし、医療麻薬が効果を表さない場合は、在宅医にペインクリニック科の医師を紹介してもらい、神経ブロックなどの方法を検討することもできます。以前、緩和ケアについて書いた記事でも言及しましたが、日本人はその我慢強い性質ゆえなのか、病気の痛みを我慢してしまう方が大変多いと言われています(参考:リンク)。

痛みは我慢するものではありません。過度な我慢は、治療の妨げになるばかりか、自分らしい人生を送る機会を逸してしまうということにも繋がります。

「痛み」を我慢する必要はありません。在宅看取りでも、「痛み」は取り除けるのです。

 

いかがだったでしょうか。

改めてまとめると
・在宅看取りでも「痛みのコントロール」は受けられる
という結論です。

「その人らしい暮らしを最期まで支援する」という考えが、緩和ケア(≒ホスピスケア)の最も重要な目的でした。そう考えると「住み慣れた自宅で最期のときを過ごす」というのは、最も有効な緩和ケアのひとつなのかもしれません。

黄金のおりん
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