40歳主婦愛媛県在住です。
自他共に認めるぽっちゃりです。
料理を作るのも食べるのも大好きです。
それ故に、良い出会いには中々巡り会えませんでした。
若い頃に職場の人の紹介で知り合った人と付き合った事がありました。
その人は、私を都合のいい女として見ていました。
自分の都合で呼び出し、私からの電話やメールはほとんど無視。
挙げ句の果てにはお金の無心までしてくる始末でした。
初めは数千円だったのが段々と金額が上がっていき、数万円単位で要求されるようになりました。
私も我慢の限界になり別れを切り出しました。
すると、逆上した彼は去り際に暴言を吐いたのです。
内容は私の容姿に関する事です。
私は何も言い返す事が出来ずに、ただただ泣きました。
しかも、後々わかった事ですがその人はなんと既婚者だったのです。
それがわかった時、私は本当に深く傷つきました。
そんな私が今の主人と出会ったキッカケはスマホのゲームアプリです。
ゲームの中でチャットしている内に仲良くなりました。
初めはゲームの話ばかりだったのが、段々と色んな話をするようになりました。
今日作ったコロッケがとても美味しかった事。
明日の朝はサンドイッチを作る事。
来週、家族で中華料理を食べに行くのが楽しみな事。
作るのも食べるのも大好きな私。
よく食べ物の話をしていました。
主人はいつもいいなぁ、僕も食べたいなぁと言っていました。
そして段々と自分の事を話すようになりました。
主人は私より5つ年上の33歳。
工場で働いているとの事でした。
ある日、私の家の近所に大きなショッピングモールが出来たので、その話を主人にしました。
すると、もしかしてそれって〇〇モール?と聞いてきたのです。
私は、そうだよ。何でわかったの?
と聞き返しました。
何と、私たちは隣同士の県に住んでいたのです。
車で2時間程度です。
私達はメールアドレスを交換しました。
直接メールをするようになって数週間が経った頃、主人が電話で話したいと言ってきました。
私はとても緊張しましたが、声を聞いてみたいと言う思いが強く、番号を教えました。
初めての電話は緊張しましたが、すぐに慣れて毎日のように電話で話しました。
主人と話していると嫌なことを全て忘れました。
電話でも相変わらず食べ物の話で盛り上がりました。
私は簡単に作れるレシピをメールしました。
そして後日、彼がその料理を作った写真を送ってきました。
とても楽しい日々でした。
ある日、
「良かったら今度の日曜、会わない?」
主人が電話で聞いてきました。
「で、でも」
私は返事に迷いました。
この頃の私は既に主人に恋していましたが、自分の容姿を考えるととても怖かったのです。
それに、前に付き合った人に最後に言われたひどい言葉が再び頭の中によみがえりました。
頭の中であの時の事が鮮明に浮かんできます。
何か言わないといけないと思えば思うほど、声が出ませんでした。
そのまま何も言う事ができずに、電話を切ってしまいました。
涙が止まりませんでした。
怖くて悲しくて。
何で私はこんなに太ってるんだろう。
こんなんだから、誰からも好きになってもらえない。
そんな事を思いながら泣いていました。
すると、主人からごめん、いきなりでビックリしたよね。と、メールが来ました。
何て優しい人なんだろう。
そう思いました。
このままではいけないと強く思いました。
こんなに優しい人に対して失礼だから。
私は意を決してありのままをメールしました。
自分の容姿の事、今までそのせいで辛い思いをしてきた事、男に騙された事、ひどい事を言われてとても悲しかった事。
だから、あなたに会うのはとても怖いと。
あなたに嫌われるのがとても怖いと。
すると、主人から帰ってきたメールにはこう書かれていました。
僕は君の中身が好きなんだ。
君がいつも話してる料理の話が僕は大好きなんだ。
君が話してるととても美味しそうに感じるんだ。
こんな女性と付き合えたらなって思っているんだよ。
大丈夫だよ。
容姿の事なんて気にしないで。
その言葉を目にした時、私は再び涙が溢れました。
今度は嬉し泣きです。
今までの辛くて悲しい涙ではありません。
幸せの涙です。
そしてすぐに電話をかけて失礼を謝りました。
日曜日、私達は会いました。
早起きしてお弁当を作りました。
コロッケ、サンドイッチ、卵焼き。
それとデザートにマドレーヌも焼きました。
服は少しでも細く見せるために黒のワンピースを選びました。
初めて見る主人はとても優しそうな感じの人でした。
身長は高くて痩せ方でした。
「僕の思った通りの人だ」
第一声、主人の言葉です。
「ほ、本当に?」
私は驚きと緊張で声が上擦りました。
「うん。僕はどうかな?」
「す、すごくかっこいい」
それから私達は付き合う事になりました。
主人はとても優しい人です。
こんないい人と巡り会えた事はとても幸せな事だと思います。
主人のおかげで心の傷も癒えました。
私は主人の為に沢山の料理を作りました。
初めての顔を合わせてから数ヶ月後、私たちは結婚しました。
今だから言えます。
ぽっちゃりで良かった。